引継ぎの進め方
後任が決まらないまま退職日が来る。引継ぎで先にやっておくべき5つのこと
退職の申し出を受けてから、実際に引継ぎに使える時間は思ったより短いものです。退職日の1〜2か月前に申し出があっても、有給休暇の消化を差し引くと、本人が出社して引継ぎをできるのは3〜4週間ほどになります。
その間に後任の採用が決まることは、あまりありません。求人を出し、面接をして、入社日を調整しているうちに、退職日が来てしまいます。
この記事では、後任が決まっていない状態でも、先に進めておける引継ぎを5つに分けて紹介します。後任が誰になっても使える形で残しておけば、採用が遅れても、社内の誰かが仮で担当することになっても、困る場面を減らせます。
引継ぎがうまくいかない理由は「時間」だけではない
株式会社ヌーラボの調査では、20〜25歳の会社員の47.8%が「業務の引継ぎで困った経験がある」と答えています(出典)。また、株式会社taiziiiが大企業の管理職200名に聞いた調査では、引継ぎの課題の1位は「暗黙知が共有されない」(39.5%)でした(出典)。
手順は資料に残っていても、「こういうときはこうする」という判断や、取引先ごとの事情は残っていないことが多い。引継ぎで抜けやすいのは、まさにその部分です。
1. まず、業務をすべて書き出す
最初にやるのは、退職予定の方が担当している業務を、小さなものまで含めて一覧にすることです。一覧には、次の項目を入れておくと、あとで手順書をつくるときにも使えます。
| 項目 | 例 |
|---|---|
| 業務名 | 請求書の発行 |
| 頻度・期日 | 毎月末、翌月5日まで |
| 使うツール | 会計ソフト、Excelの請求管理表 |
| 関係者 | 経理担当の上長、取引先の経理窓口 |
| 所要時間 | 月に約3時間 |
本人の記憶だけに頼ると、どうしても抜けが出ます。カレンダーの予定、送信済みメール、共有フォルダの更新履歴を一緒に見ながら書き出すと、忘れていた業務が見つかります。
2. 手順より先に「判断の基準」を聞いておく
手順は、あとから画面を見ればある程度わかります。一方で、判断の基準は本人がいなくなると誰にもわからなくなります。
たとえば、次のような質問を本人に投げておくと、判断の基準を拾いやすくなります。
- 取引先から値引きの相談が来たら、どこまで受けていたか
- 請求書を出し忘れたときは、どう対応していたか
- 例外的に上長の確認を取っていたのは、どんなときか
答えは「判断表」として、業務一覧とは別にまとめておきます。
3. 画面操作は、口で説明するより録画する
画面を操作しながら説明してもらい、その様子を録画するのが、いちばん抜けの少ない残し方です。口頭の説明をメモするだけだと、クリックの順番や、画面のどこを見ていたかが残りません。
録画は、業務ごとに3〜5分程度に区切っておくと、あとから見返しやすくなります。手順書は、その動画をもとに起こせば十分です。
4. 年に一度しか発生しない業務を拾う
年末調整、決算の準備、保険や契約の更新手続きなど、年に一度しか発生しない業務は、ふだんの業務一覧から漏れがちです。
過去1年分のカレンダーや、前年の同じ時期のメールを振り返り、「その月にしか発生しない業務」を洗い出しておきましょう。引継ぎの時点ではまだ先の話でも、そのときに困るのは、残った人たちです。
5. 仮の担当者に、すべてを寄せない
後任が決まるまでの間、同じ部署の誰かが仮で担当する、というのはよくある形です。ただ、自分の仕事に他人の仕事が上乗せされる状態が長く続くと、その人の負担が次の退職につながることもあります。
仮で担当してもらう場合は、次のように決めておくと、負担を抑えやすくなります。
- 仮で担当する期間の目安を決めて、本人に伝える
- 定型的な作業と、判断が必要な作業を分け、判断は上長が持つ
- 一部の業務だけでも、外部に任せられないか検討する
まとめ:後任が誰でも使える形で残す
後任が決まっていない段階でも、業務の一覧、判断の基準、画面操作の録画、年に一度の業務は、先に残しておけます。こうしておけば、採用が遅れても、社内の人が仮で担当することになっても、同じものを使って引き継げます。
引継ぎ代行プラスでは、退職する方からの引継ぎを私たちが受け、マニュアル・動画マニュアル・引継ぎAIにまとめたうえで、後任が決まるまでの業務をリモートで回します。後任が決まったら、同じマニュアルを使って後任に引き継ぎます。