仕組み化
属人化した業務は、退職をきっかけに仕組み化する。進め方と例
「この業務は、〇〇さんしかわからない」。ふだんは問題にならなくても、その人の退職が決まった瞬間に、大きな問題として表に出てきます。
株式会社taiziiiが管理職200名に聞いた調査では、ベテラン社員の退職を「経営リスク」と感じている人は74.5%にのぼりました(出典)。一方で、具体的な対策を取れている会社は多くありません。
この記事では、退職をきっかけに、属人化した業務を仕組み化する進め方を紹介します。
退職は、仕組み化のきっかけになる
退職が決まると、担当者の業務をすべて書き出すことになります。ふだんは「忙しくてできない」業務の棚卸しを、否応なく進められるタイミングです。
また、後任の採用条件を見直す機会でもあります。定型的な作業を仕組みに任せられれば、後任には判断や対人の仕事に集中してもらえます。場合によっては、同じ人数を採用しなくても回るようになります。
仕組み化の進め方
1. 業務を書き出す
まず、担当者の業務を、頻度・期日・使っているツール・関係者とあわせて一覧にします。
2. 「定型の作業」と「判断」に分ける
一覧の業務を、次の2つに分けます。
- 定型の作業 入力、転記、集計、書類の作成など、手順が決まっているもの
- 判断 値引きの可否、例外対応、取引先との調整など、人が決めるべきもの
仕組み化するのは、定型の作業です。判断は、基準を文書に残したうえで、人に残します。
3. 定型の作業を、仕組みに置き換える
置き換え方は、大きく2つあります。
| 方法 | 向いているとき | 例 |
|---|---|---|
| 今のツールの中で自動化する | 会計ソフト、kintone、Googleスプレッドシート、Slackなど、すでに使っているツールで業務が回っている | 受注データから請求書を下書きする、週次の数字を自動で集計してSlackに投稿する |
| その業務専用の社内ツールをつくる | 合うツールがない、紙やFAXが残っている、複数のツールをまたいでいる | FAXの注文書を読み取って一覧に並べる、問い合わせを分類して回答を下書きする |
まずは今のツールの中でできないかを考え、合うものがない業務だけ社内ツールをつくる、という順番で考えると、ふだん使う画面を大きく変えずに済みます。
4. 判断の基準を残す
仕組み化できない判断の部分は、担当者に基準を聞き取り、判断表として残します。判断表は、後任が迷ったときの手がかりになるだけでなく、引継ぎAIの回答のもとにもなります。
よくある仕組み化の例
- 請求書の発行 受注の一覧を見ながら手で入力していた作業を、受注データから請求書を自動で下書きする形に
- 経費精算 紙の領収書を見て仕訳を入力していた作業を、領収書の写真を読み取って仕訳を下書きする形に
- FAX・PDFの受注 注文書を見て基幹システムに入力していた作業を、読み取った内容を一覧に並べ、確認して登録する形に
- 社内からの質問 「前の担当に聞いて」で止まっていた質問を、社内チャットから引継ぎAIを呼び出して答える形に
仕組み化で気をつけたいこと
- 最終判断は人に残す AIやツールがつくるのは下書きまでにして、確定や送信は人が行う形にしておくと、誤りが起きても止められます。
- 例外の置き場所を決める 仕組みで扱えない例外が来たときに、誰が、どこで対応するかを決めておきます。
- 運用する人を決める つくった仕組みも、業務が変われば直す必要があります。直す担当を決めておかないと、仕組みごと使われなくなります。
まとめ:退職を「失うきっかけ」から「整えるきっかけ」に
属人化した業務は、担当者が辞めるときにいちばん表に出ます。そのタイミングで業務を書き出し、定型の作業は仕組みに、判断は基準として残しておけば、次に同じことが起きたときに慌てずに済みます。
引継ぎ代行プラスでは、退職する方からの引継ぎを受けて業務を回しながら、今のツールの中での自動化や、業務専用の社内ツールづくりまでを行います。